天体写真コレクション 羽刈の里天文台より

冷却CCDカメラによる天体写真の掲示。観測ドームの製作過程や使用器具など紹介しています。

栃木県足利市 Ⅲ レンガ造りの工場 (株) トチセン

 足利市シリーズのⅢは、1999年に国登録有形文化財の指定を受けた「㈱トチセン」のレンガ造りの工場を紹介します。この度は同社社長さんのご好意により、文化財として貴重な工場内部まで拝見させて頂きましたので、しばし明治・大正の気分にひたりたいと思います。  

 繊維の染色仕上げ加工に専門知識を有する「㈱トチセン」は、その特有技術を生かし当時の繊維産業の衰退にも懸命に対応し、昭和38年にはポリエステルフィルムへの染色加工技術を確立しました。そして日本で数少ないフィルム染色メーカー として、フィルム加工を通じ粘り強い経営を続け、この分野で生き残っている会社です。 2005年には 県フロンティア企業に認定されています。

 設立こそ1949年の戦後ですが、その源流は1913年(大正2年)設立された 「足利織物株式会社」です。 そして戦時の企業整備令、その他幾つかの変遷を経て現在に至る実質一世紀の歴史を有する会社です。

 さて、これは「旧足利織物赤レンガサラン工場」で石材を窓枠とする窓が特徴です。
  (サランは、ある種の合成繊維の商標名で、サランラップのサランです)

トチセン2
トチセン1 

 以下は、同じく「旧足利織物赤レンガ捺染(なっせん)工場」です。 捺染は英語では printing と訳されますが、染料液にひたして染める浸染に対し,染料を含む捺染のり(糊)を印捺して模様染を行うのが捺染です。
 この、6連の(…1つカメラに納まり切れませんでした)ノコギリ屋根と窓で広い工場内を明るくしています。 壁面の模様は戦火を避けるべくの迷彩模様の名残りです。
トチセン3 
国登録有形文化財の指定を記すプレートです。
トチセン4     
 時の経過にも関わらず、美しい赤レンガです。 これは明治の実業家渋沢栄一が中心となり設立した 「日本煉瓦製造会社」 製であることが確認されています。 同社製のレンガは東京駅や迎賓館(旧赤坂離宮)などにも使われています。
 また、レンガの積み方は「イギリス積み」と言われ、長手だけの段と短いものだけの段が上下方向に交互に積みあげられています。

 レ
ンガ造りの外壁はもとより、木造製の内部軸組み構造は力学的に大変美しいもので、相当な重量物を支えている割に、梁はさほど太くなく、互いの間隔を適切に取りながら、かつ梁の中央やゝ右寄りの垂直材や筋交いを配することで、三角形をうまく使い荷重を分散させているようです。
  鉄骨でなく木造であることが何とも味わい深いものです。
 垂直材、筋交いなどと言わず 吊り束 .方杖 と言うほうがよいかも知れません)
トチセン5 トチセン6

 古き時代の、大きな旋盤です。動力は上からベルトで取っているようです。ハダカ電球のもとで作業をしたのでしょうか
…。 今とは異なり加工された品物の良し悪しは職人の腕一本にかかっていたことでしょう。 コンピューター制御を見慣れた現代人にとっては、何か昔の人に頭の下がる思いが致します。
トチセン7 
そこここに赤レンガがアクセントのように配されています。
トチセン8 
 以下の写真は 「ランカシャボイラー」 と呼ばれるボイラーで 、イギリスの紡織会社で多く使用されたため、その地名から命名されました。 これも国登録文化財です。
トチセン9 

以下のレンガ造りの装置は、横置き多管式と呼ばれるボイラーです。
トチセン10 

 下の建物は 「旧足利織物機関室」 で、ランカシャボイラーが設置されている建物です。 迷彩模様がずいぶんよく残っています。
トチセン11 
機関室の外壁の一部ですが、高圧蒸気の分配孔でしょうか…。
トチセン12 

 サラン工場内部  この部屋のみならず敷地内のあちこちは時代を思わせる風景・風情にあふれており、過去にこれらの時代を背景としたテレビドラマのロケが 2度も行われました。また赤レンガ工場などは最近NHKのTV番組でも紹介されました。
トチセン13 
倉庫として利用しながらも、大事に愛情を持って保護・保存されているように感じた次第です。
トチセン14 トチセン15

 これだけの古いものを保存するには、諸々の大きな労力を要すものと思われます。 決してそれに報いるまでには至りませんが、一人でも多くの人に知ってもらい、心にとめ、歴史に思いを馳せながら何かを感じて頂ければ…と考える次第です。



栃木県足利市 Ⅰ  日本最古の学校とされる足利学校、ばん阿寺
栃木県足利市 Ⅱ  八木節のふるさと足利  
                  
などを紹介していますので、どうぞお立ち寄りください。


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